<前回までのあらすじ>冷凍食品のパッケージをどう並べて壁に貼るかの戦略も決まり、部屋を装飾する資材の製作も完了した。あとは設営するのみだ。
これまでのストーリーはこちらから ↓【企画・準備編】【シミュレーション編】
作業は最終局面へ突入
「冷凍食品の壁」の完成まであと少し。
幅1.2m、高さ2.4mの大判のスチレンボードを、印刷工場の3階から本社4階にある食堂まで、狭い階段を登り降りして運び入れる。
ボードから部屋の壁面となる各パーツを取り出し、順番に壁にあてがい、寸法が正しいかを確認していく。
最大のネックは、壁から突き出た旧式のエアコン。
部屋を冷やしたり温めたりしてくれるエアコンを隠すわけにもいかないので、サイズに合わせてボードに窓を作ったが、うまく嵌まるかが懸念材料だった。
嫌な予感は的中した。穴にエアコンが入らないのだ。
急遽、穴のサイズを拡げるべく、その場でスチレンボードにカッターを入れた。
穴を大きくしたことでなんとか嵌まったが、今度は別の問題が。
ボードの厚みが邪魔をして、ボード同士が重なり合ってしまう箇所が出てきた。
編集長の素人採寸が仇となった。
次々と起こるトラブルに、編集長の顔が次第に凍り付いていく。
どうにかこうにかして、ようやく体裁が整ったところで、いよいよボードを壁面に貼る作業となった。
現状復帰が前提なので、ボードは壁にベッタリとは取り付けない。出っ張った部分にのみ両面テープを貼り付け、ボードを取り付けていく。年代がかった和室が、みるみるうちに真新しい編集室に変化していった。
3方向をボードで囲ったところで、ついに冷凍食品のパッケージを貼る作業を開始した。
「冷凍食品の壁」現わる
まずは300個のパッケージのうち、約半分を貼る右側の冷凍食品の壁の製作に取りかかった。
脚立を使い、緑色の冷食パッケージから順番に貼り付けていく。
緑色がなくなったら、次は青。青が切れたら今度は紫というように、なるべく見た目がグラデーションになるように敷き詰めていく。
茶色を経て、比較的アイテム数の多い黒色のパッケージを貼り切ったら完成だ。
続いて左側の壁。こちらには白いパッケージから始まり、黄色、オレンジ、そして赤と暖色系中心の冷凍食品が集結した。
最大派閥の赤色パッケージがあるから、こちらの面は追加しなくても足りるだろう、と高を括っていたら、最後の方になって少し埋まらないことに気づき、慌てて予備にとっておいたパッケージに袋詰めをする羽目になった。なかなか机上の理論通りにはいかないものである。
左側の冷食の壁が出来上がるころには、外はすっかり暗くなっていた。
こうして『FAN FUN FROZEN』編集室は完成した。
部屋の真ん中に座ってみると、左右の冷凍食品の壁が出っ張っているため、やはり少し圧迫感がある。
だが、編集長にとってはその圧が、不思議と居心地が良かった。
この編集室を活動拠点として、冷凍食品に精通しているゲストをお呼びしたり、冷食ファンと冷凍食品を囲んで談話したり、併設の調理場でアレンジレシピを開発したりと、やりたいことが次々と浮かんでくる。
さあ、これから何を企(たくら)もう?
最後に、設営の様子を撮影した動画を紹介して、「冷凍食品が壁を埋め尽くす部屋を作りたい」特集の3部作を締めくくらさせていただきたい。
※この物語はほぼ実話ですが、一部に脚色・編集がございますことをお含み置きください。
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