パッケージとの格闘の日々
設営日までに、下準備も必要だった。
机の引出しにしまっていた冷凍食品のパッケージの束は、食べた後に水でゆすいでいたにも関わらず、引出しを開けるたびに臭いを放った。
1袋ずつ中を嗅いでいき、臭いが気になるパッケージは家庭用洗剤を使って洗い直し、洗濯物用のピンチハンガーに吊るして干した。
また、平べったいパッケージではボリューム感が出ないと思っていた。封を開ける前の冷凍食品を再現したかった。
中に入っているトレーはすでに捨ててしまっているため、適度に藁半紙を詰めることにした。
1年と3ヶ月の間に集めたパッケージの数は300枚弱。いくら思い入れのある冷凍食品だとしても、一人で作業するには途方もない数だった。
孤独な戦いを強いられる編集長に、見かねた上司が助け舟を出した。
仲間も仕事の合間を縫って、続々と集まってきてくれた。
作業する手が増えるほど加速度的に、机の上に冷凍食品のパッケージが積まれていく。
その厚みは正確ではないにせよ、この山が自らの腹の中に収まったのかと思うと、編集長の胸に感慨深いものが込み上げてきた。